1996年5月2日(第33日)
アルマータ〜国境(越えられず)〜ジャムケント


    
風景写真
国境近くのイリ川(バスの中より)

 今日は曇り空の下、いよいよ、最後の国境越えの日です。中国とカザフスタンの国境の町コルガスまでは、私たちの泊まったアルマトイから400キロ余りあり、バスで約2時間かかります。さらに、国境越えで4時間くらい、中国側は宿泊地のイーニンまで国境から100キロということで、約2時間、併せて12時間の行程です。
 今日は、朝から気分が落ち込んでいました。理由は、フロッピードライブの故障です。とにかく注意に注意を重ねて運んできたのに、どうして壊れたのかと思うと、悲しくてなりません。この旅ではとにかく機材が命なので、大切に大切に扱ってきたのに、何がいけなかったのでしょうか。とてもブルーな気分でした。おまけに少し熱があって、やはりまだ、体は本調子ではありません。食欲も余りないので、エネルギーに代わりやすいものを食べようと持っているクッキーを食べたりしました。
 8時過ぎにホテルを出発して6時間ほど走り続けました。途中、天山山脈は右手と左手にずっと連なっています。天山山脈は一番広いところでは、幅が600キロもあり、アルマトイはその天山の山並みと山並みに挟まれた町なのです。私たちのバスも、山脈と山脈の間を山脈に沿って中国に向かいます。バスの中から見る山は未だかって見たことがないほど青く、途中で、バスの窓から見る平原の端に山が切り立っている景色のところなどでは、牧草地の新緑に山の青で、本当に美しい景色でした。バスの右手の山の向こうが先日病気療養させてもらったイシク・クル湖だと聞くとなんだか、胸の奥に暖かな灯がともるようでした。  国境近くで、イリ川を渡りました。浅く幅広い川のようでしたが、バスは橋の上を走り抜けてしまったのでよくわかりませんでした。  やっと国境に着くと、今日は国境が閉まっているということで、近くの町で泊まることになりました。今、小さなベットの上でこの原稿を書いています。今日ここについて、フロッピードライブを使ってみると、何とか動いてくれます。本当に救われた気持ちになりました。今日は寒くて食欲がないので、夕食は部屋で、カロリーメイトを食べます。さあ、明日もがんばらなくては。

ミニコラム 国境が閉鎖中
ホテルの外観
思いっきり
しなびたアジアホテル
 夕方、カザフスタンと中国の国境に着くと、今日は国境が閉まっているという。昨日のメーデーに続いての休みなのだそうだ。よく考えてみると、国境までの道で、本来なら中国からやってくるトラックの列と行き会うはずなのだが、それがなかったことは確かだ。途中で何カ所か通過した検問所でも、おそらくそれは知っていたのだろうが、こちらのスタッフも誰も気がつかなかったため、アルマトイから400キロを走って国境に着いて初めて気がついたわけである。
 国境事務所の前で夜明かしするわけにも行かず、国境近くの町ジャムケントの最後にいつ客が泊まったのだろうかというようなホテルに泊まることになった。一応ベットはあるし、部屋にトイレもあるが、それ以上は期待しないように、と添乗員さんからお達しが回った。
 このあたりの夜の冷え込みは厳しそうなので、とりあえず建物の中だと言うことだけでも安心だ。もっとも、とっても古い鍵なので、中に閉じこめられるのが怖くて私は部屋に鍵をかけていない。扉のノブにストッパーがついていないので、ドアはうっすらと開いたままだが、まあ、どうということもないだろう。ここに泊まっているのは、私たちツアーの一行だけなのだから。
 明日は、5時に出発だそうだ。今日は早く休もう。

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