7.艦船のクリスマスデコレーション


    
キティホークの遠景
停泊するキティホーク
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 汐入の駅の手前から遠くに見えていた大きな船は、航空母艦キティホークだった。甲板には、遠目にも大きなスノーマンが立っていた。ふと気がついて周りに停泊している船を見渡すと、ほとんど全部の船にクリスマスのライティングが施されていた。ツアーには、基地の中の人(アメリカ軍人)が参加する事もままあるらしく、私たちの組にも一組のアメリカ人がいた。彼らに、電飾がついているのを見たことがあるかと聞いたら、「すごくきれいなのよ」と奥さんの方がにこにこしていた。旦那さんも「クリスマスが近くなると、船同士競ってデコレーションするんだよ。ここは、船が少ないけれど、多い基地だとすごい豪華なんだ」と説明してくれた。
 基地の外からも、岬の周りのどこかからなら、夜になったら、きれいなデコレーションが見えるのかもしれない。来年は、夜、来てみたい。
 横から見る航空母艦は、さながらビルが横倒しになって浮いてるようだった。米海軍のキティホークホームページの紹介によれば、この船には、2932名の乗組員と最大1782名のパイロットを含む戦闘機関係のスタッフが乗り込むという。5500名以上の人員の乗り込むこの艦は、さながら一つの町であり、その人口は、艦の乗組員の多くが育った町の人口より多いと言う。艦長は、町長と同じような位置づけになると記されていて、なんだかほほえましい。艦への食料などのデイリーサプライの補給は3日に1回。出航後は、同じように3日に1回、燃料とデイリーサプライが、輸送船やヘリコプターなどで補給される。
 この船は、80,800トンの排水量で、全長はゆうに300mを越える。時速30ノットを超えるスピードで航行し、最大で85機の艦載機を搭載する事ができる。機関は8つのボイラーを持ち、4つの蒸気タービンと併せて28万馬力を出す4本のシャフト(動力軸)があるという。(よくわからないが、軸が4本あるならスクリューもたぶん4個ではないだろうか? 作者注)
 船底から一番上まで、全部で21階あるという。乗組員でもしばしば館内で迷うことがあるし、新入隊してきた乗組員は、先輩がわざとわかりにくい遠くに連れていって置き去りにしたりするので、しょっちゅう迷っているという。なにしろ同じ階段を上下していても、どこがどこやら、わかりにくいことおびただしい。つくづく海上勤務は大変そうだ。

ミニコラム 船にも表札あり
キティホークの看板
船にも表札があがっていた
なんだか、不思議な感じ
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 艦船見学のため、舳先の方から艦の横っ腹に沿って乗船口へと歩いた。艦の横に沿って駐車場があり、その手前に船の看板があがっていた。横5メートル縦2メートルくらいの大きな看板なのだが、まるで表札のようだった。駐車場には、ナンバープレートの代わりに、KITTYHAWKと書いてあるプレートがついている。艦載の自動車なのだ。ワゴン車あり、ジープ有り。何でも積んであるんだな。
 英語の辞書を調べてみたが、この看板にある、The world's only forward deployed aircraft carrierという表現の意味はよくわからなかった。最前線に展開したことがある、と言う意味だろうか。(どなたか、ご存じでしたら、お知らせください。) キティホークは、廃艦が近いとはいえ現役の船で、1961年に建造された空母でエンジンはディーゼルエンジンである。
 艦載機は、厚木基地に回送され、ここにはないようだった。
 米海軍第七艦隊のホームページによれば、1999年12月現在、横須賀を母港として展開している艦船は、第七艦隊旗艦U.S.S.ブルーリッジ(上陸作戦用コマンドシップ)をはじめとして、11隻を数える。イージス艦あり、ミサイル巡洋艦、ミサイル駆逐艦、ミサイルフリゲート艦とバラエティに富んでいる。その中では、航空母艦はこのキティホークだけである。  

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