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電気系−バッテリー





●カルシウムバッテリーの特徴と突然死


現在筆者のクルマには、2001年12月に装着したカルシウムバッテリーが積まれており、
これを書いている時点ですでに丸7年20万キロ近く使用している。(2009年1月現在)
カルシウムバッテリーというのは、高い性能を長期間維持できるという特徴があるが、
一方で、寿命を迎えるときは前兆がなく、突然性能を失うという話も聞く。



筆者は以前、北海道の北部に住んでおり、
当時は冬期間走行中にバッテリーが上がるようなことがあれば、
冗談抜きで生きる死ぬの問題だったため、
このバッテリーの突然死対策に躍起になったことがある。

結果として、緊急用にドライバッテリーを常時積載するという方法で、
理屈や前兆はともかく、突然死しても平気という対策をとって
筆者としては問題の解決を見たのだが、
結局、カルシウムバッテリーの突然死のメカニズムについては、
当時は不明のまま放置ということになったのだが、
最近、このカルシウムバッテリーがどうして突然死するかということに関して、
ある方面から(真偽のほどはともかく)解答を得たので、ここに記しておきたい。
ただし、あくまでも真偽のほどは確かではないから、その点、ご考慮されたい。


まずはバッテリーの基礎知識がないと説明してもどうしようもないので、
こちらでバッテリーの基本的な構造や理屈を理解してきてから
以下をお読み頂こう。 →参照:社団法人 電池工業会

さて、以下、バッテリーの構造を理解しているものとして話を進めるが、
カルシウムバッテリーというのは、従来のバッテリー
(=鉛蓄電池:アンチモンバッテリー,電解液を補充するタイプのもの)
が、電極に鉛が使われているのに対し、
カルシウム合金が使われているというものである。
これが鉛蓄電池に対してどういうアドバンテージがあるかというと、
寿命が著しく延びるのである。

バッテリーの寿命というのは、
電極と電解液である希硫酸との化合物が、
電極に結晶化する(=サルフェーション)ために性能が劣化していき、
ついには必要な性能を満たせなくなるために訪れるのである。
鉛電極の場合、硫酸鉛の結晶が電極に付着することで、
電極の表面を電解液から隔離し、
また結晶となった分だけ電極の鉛が減っていくために、
本来の性能を失うのであるが、
カルシウム合金の電極の場合は、この結晶化する化学反応が著しく遅いので、
バッテリーとしての寿命が鉛蓄電池よりも長いのである。
また化学変化の過程での電解液の減少も少ないため、
液補充不要のメンテナンスフリーのバッテリーとして、
現在では一般的になってきているわけだ。

こうしてみると、メンテナンスフリーで寿命は長いと、
カルシウムバッテリーは従来の鉛蓄電池に対していいことづくめのようだが、
そんなものならとうの昔に一般化してもよかったはずである。
というのも、カルシウムバッテリーが松下電器から日本で初めて発売されたのは1976年、
いまから32年も前のことであるが、普及しだしたのは少なくともここ10年程度である。
初登場から普及までこれほど時間がかかったのは、
カルシウムバッテリーは自動車用として致命的な欠点があったからで、
それは、カルシウム合金電極が熱に弱いということである。

バッテリーといえば、多くのクルマではエンジンルームに置かれているから、
その使用条件は常に高温の中でのものである。
鉛蓄電池は高温に強いので、自動車用としての条件を満たしていたが、
カルシウムバッテリーはこの高温下で置かれることが、最も弱点となるのである。
この欠点を解消するため、
カルシウム合金に鉛を配合することにより性能と耐熱のバランスをとるというような改良を重ね、
現在の普及となったわけである。

さて、致命的欠点としての耐熱性能は向上したものの、
本質的にカルシウム合金が熱に強くなったわけではない。
したがって、一般的使用には常識的範囲で使用できるカルシウムバッテリーであるが、
やはり高温下で使用されることは望ましいことではない。
カルシウム合金電極の弱点とは、高温に晒されると、表面にクラックを生じてしまうということで、
このクラックから、正極負極を多層重ねた構造になっているバッテリー内で正負極の極板がショートしてしまい、
突然死を引き起こすことになるのである。

以上が、(何度もいうが真偽のほどは定かでないが)
カルシウムバッテリーの突然死が起こることに関する理屈である。
要するに高温下に置くのが悪いわけで、
こればっかりはバッテリーをエンジンルームから移設するくらいしか対策はない。
ただ、そこまでやるかどうかはともかく、
特徴と弱点を理解していれば、少なくとも何も知らないで使うよりは、
バッテリーに余計な負担をかけずに使用することも可能であろうし、
知っていれば無用だったというようなトラブルにも見舞われずに済むであろう。


ところで、ミニの場合。
ミニのバッテリーは、車体重量配分から、リアのトランクルームに設置されている。
この場所はどう間違っても高温にはならないから、
カルシウムバッテリーの使用条件としては非常に好ましいと言えよう。
これで、7年20万キロ使ってもまだ全然衰える気配がない理由付けが、
ちょっとはできたような気がするんだが。





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