▼機 関
▼シャシ
▼電気系
▼ボディ
▼消耗品
▼その他
BACK
エンジン
冷却系
├点火系
吸排気系
サスペンション
タイヤ
ブレーキ
バッテリー
└電装品
インテリア
エクステリア
     (リペア)
潤滑油
燃料
添加物
├車載品
オーディオ



消耗品−添加物





●マイクロロン


慣らし運転後、最初のオイル交換時に最初のマイクロロン処理を行ない、
その後、7万km,12万km,17万km時にそれぞれ行なっている。

マイクロロンに関しては、その有効性そのものに対してさまざまな意見が存在する。
ここではそれに関する私的見解を述べるが、以下の記述に関して、
筆者自身はいかなる実験、理論、データなどにより、この記述を証明できるものではないことをお断りしておく。
これはあくまでも、筆者はこう考えているという話だということであり、
マイクロロンの効果を否定することを目的にしているわけではない。


前置きが長くなった。

マイクロロンを入れた直後から、エンジンが静かになったとか、
燃費が上がったと、効果を体感したと主張する人がいる。
少なくともこれは間違いである。
メーカー自身が説明しているが、マイクロロンには強力な洗浄剤が配合されていることと
マイクロロン自体が揮発性の液体であるため、入れた直後からオイルの粘度が下がるのである。
(ただし、粘度が低下するのは揮発してしまうまでの一時的なものであると説明されている。)

最近の省燃費車の指定オイルが非常に低粘度であるように、粘度が低いオイルを使えば燃費は上昇する。
また、レスポンスもよくなるためトルクが上がったように錯覚もする。
これら直後に体感できる変化は、マイクロロンの本来の効果ではなく、
オイルの粘度が一時的に下がったことによるものなのである。
説明書によれば、マイクロロンの本来の効果は、
マイクロロンが定着するとされる1600km以上走行した後であるとされることからも、
メーカ自身も直後の変化はマイクロロン本来の効果ではないことを明記している。

※では、省燃費のためには低粘度のオイルを使えばよいのかといえば、そう単純なものではなく、
粘度を下げれば油膜は薄くなるので、そういう油膜でも壊れず動作できるエンジンであることが求められる。
近来の省燃費エンジンはそのあたりの技術があって初めて成立しているのであって、
これを40年以上前の設計のミニにそのまま適用すれば、いずれ壊れるであろうことは想像に難くない。


さて、マイクロロンの効果について、メーカー側から主張されている主なものは以下の通りである。

・摩擦抵抗の減少によるフリクションの低下と、それによるエンジンの静粛性上昇
・コーティングによりシリンダーの気密性が上昇し、トルクが上昇
・以上のことにより副次的に燃費が上昇
・コーティングによるエンジン保護


一方で、エンジンオイルがミッションオイルを兼ねるミニのATにおいて、
マイクロロンを使用してもクラッチやバンドが滑らないことに関する説明は以下のようなものである。

マイクロロンはATのクラッチバンドのような摺動部には定着しない。
いったん付着はするが、摺動を繰り返しているうちに剥がれる。
したがって、ATミニの場合、マイクロロン処理した当初には滑るような挙動を示すが、
ある程度距離を走行すると、滑らなくなる。


この説明は、筆者にはメーカー側が主張するマイクロロンの効果とは矛盾するものに思える。
もし摺動部に定着しないのであれば、
(実際にATミニにマイクロロン処理をしても説明どおりの挙動を示すようだ)
その場合、ピストンとシリンダー内部も摺動しているにもかかわらず、
マイクロロンの定着により気密性が上昇し、摩擦抵抗を減少させることをどう説明できるのだろう。
定着して欲しくないところには定着せず、定着して欲しいところには定着するというほど都合がいいわけはない。

そもそもマイクロロンの主成分テフロンは非常に摩擦抵抗が小さく、表面に付着することも知られているが、
一方で非常に軟らかいこともまた事実である。
これらの事実を鑑みると、筆者はマイクロロンはメーカーが主張するような効果は必ずしもないと考えている。
少なくともピストンが往復運動をしているシリンダー内と、シリンダー内壁と接するピストンリング外輪部に
マイクロロンが定着することはなく、機密性の上昇でトルク増大ということははなはだ疑わしい。

では、マイクロロンはまるで意味がないのかというと、そう主張できるほどの確信はない。
確かにメーカーが主張する効果を額面通りに受け取ることは出来ないが、
摺動部以外には定着するのであるから、摺動部以外のフリクションは減少する可能性はある。
エンジンとギヤボックスはオイルという流体で満たされているのだ。
この流体とエンジンやギヤボックスで動作している部品とのフリクションに関しては、
マイクロロンの定着による効果を否定するのが難しい。
表面の摩擦抵抗が低ければ、表面で生ずる流体の乱流も穏やかであり、
発生する熱も少ないものと思われる。
そういう意味ではフリクションの減少はあるだろうし、それが燃費を向上させる可能性はある。
ただ、それがはっきり数字に表れるほどのものか、非常に微細なものなのかはなんともいえない。
ただし、少なくともこれも体感できるトルクアップに繋がるとは思えない。
要するに、マイクロロンをトルクアップや劇的な燃費向上を期待して使用するのであれば、
期待通りの効果が得られるかどうかが疑わしいと思うのである。

しかし、長いスパンで考えたエンジンの保護に関しては効果を否定するものではない。
実際のところ、かくいう筆者もマイクロロンを使用しており、
エンジンOHの際は、その損傷が小さかったことも確かである。
だがそれとてマイクロロンの効果を証明するものではない。
マイクロロンを入れたからそうだったのかどうかは、わからないからである。

現実にマイクロロンの効果が論議されるとき、
最も議題に上がるのはトルクアップと燃費向上であることを考えると、
それに対する投資が1回1万円くらいであることを考慮すれば、
対費用効果から、使用するかしないかは各人の判断に任せる他はないと思う。
正直なところ、筆者自身もマイクロロンはトルクアップや燃費向上を期待して使用してはいないし、
またその両者を体感するに至っていないことは確かだ。
筆者は、保護という観点からも現在では効果を疑問視しており、
慣らし時に一時的にフリクションを減らせれば目的を達する、エンジンを組む際に使用するマイクロロンのペーストはともかく、
少なくともあとからオイルに添加するものに関しては、今後は使用しないものと思う。






▼機 関
▼シャシ
▼電気系
▼ボディ
▼消耗品
▼その他
BACK
エンジン
冷却系
├点火系
吸排気系
サスペンション
タイヤ
ブレーキ
バッテリー
└電装品
インテリア
エクステリア
     (リペア)
潤滑油
燃料
添加物
├車載品
オーディオ