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機関−エンジン

金属マウントロッド(アキ・プロジェクト) 
アンチスイングブラケット(三和トレーディング
エンジンおよびトランスミッションのオーバーホール




●金属マウントロッド(アキ・プロジェクト)


2001.1.9(38,493km)〜 2003.7.3(120,304km) 8万q使用

一時期、非常に話題になった、ゴムブッシュレスのステディロッドで、
内蔵された相対する2個のスプリングによって振動を吸収し、
ブッシュの交換なしで半永久的に機能するというシロモノである。

話題になった商品ゆえ、取り付けた方も多いものと思われるが、
取り付けてから何万qも走ったランニングテストがどこかに公開されているという話も聞かないので、
あくまでも筆者の装着例だということを前提にレポートさせていただく。
装着した全ての人が同様のインプレッションかどうかは、
このパーツに限らず、断言できるものではなく、
繰り返すが、あくまでも筆者の場合であるということである。



まず、このパーツに付属してきた取扱説明書をご覧頂こう。



非常に読みにくくて恐縮であるが、右下に※印付きの注意書きで以下のように書かれている。
「強化ロッドのためエンジン音が(少々)室内に入ってきます。」(原文のまま)
実際に取り付けてみると、これが少々の音というよりは振動である。もちろん音もすごい。
すぐに元のゴムブッシュに戻そうかと思ったほどであったが、
これはこれで2週間くらいで慣れてしまった。
筆者は長距離を(大きな声では言えないが結構なスピードで)走るため、エンジンをかなり回すので、
もともとかなりうるさいミニのエンジンをさらにうるさくして乗っているのが日常だった。
そこまでうるさい状態になるとそんなに差がなかったのだろう。
もちろん、こんなうるさいのなら我慢ならないという人は当然いると思うし、
その辺りを気にする方はすでにこの時点で装着すべきでないかもしれない。

さて、音=振動が室内にはいるということは、ボディに振動が伝わっているということであり、
これは当然のことながら、エンジンの振動をステディロッドだけでは吸収しきれず、
ボディ側に伝播しているということを表わしている。
このストレスはうまく分散していない限りボディのどこかに現れることになるわけで、
ステディロッドが1箇所で固定されていることを考えれば、その場所は明白である。

果たして、オドメータ38,493qで装着したこのロッドは、120,304kmで破綻する。



写真は、マウントロッドを取り外した状態での、ボディ側のステディロッド固定ブラケットである。
上下ブラケットのうち、下側のブラケットが根本からボディと完全に切り離されているのがわかるだろうか。
およそ82,000km走行の間、振動によるストレスを受け続けた結果がこれである。
この時点で筆者はブラケットを溶接修理し、これ以上のこのパーツの継続使用をやめた。
実をいえば、これがエンジンのオーバーホール施工の直前であり、
そもそもエンジンを降ろしたのを機に、ラジエター側にぶれ止めキットを取り付けることにしていたので、
ちょうど良かったといえば良かったわけである。

だが、この結果から、このマウントロッドは使えないと考えるのも早急と思える。
「8万qしか保たなかった」と考えることもできるが、見方を変えれば「8万qも使えた」とも言えるからである。
8万qの間、普通のステディロッドを使用していたとすれば、
その間数回はブッシュの交換を行なったものと思うし、それが工場での施工であれば工賃が発生する。
この壊れたブラケットの修理費用は1万円であったから、トータルすれば割安であると考えられる人もいるであろう。
さらに、筆者のように年間3万q以上走るわけでもなく、せいぜい1万q以下の一般的ドライバーであれば、
8〜10年間、ブッシュを気にしないで乗れるというのは決してデメリットではない気もする。

強化ブッシュなども、
ブッシュの強度が増すだけのものは、ブッシュで吸収しきれないストレスはどこかに作用しているわけで、
基本的にはこのマウントロッドと同じことであろう。
ただ程度の問題だけである。
ブッシュが壊れることによって、ブッシュにストレスを集中させているわけであるから、
ブッシュが壊れづらいということは、別の箇所でその分のストレスを受けているわけである。

筆者はこの時点でこのパーツははずしてしまったが、
音と振動を無視できるのであれば、これもありなのかもしれないとは思っている。
ただし、こういう結末が起こりうることは、十分認識しながら使用することは必要だろう。
ボディ側ブラケットが壊れた状態で乗り続けていれば、
当然ただの故障ではすまされないのだから。

なお、純正のブッシュとアッパーステディロッドでも、
ボディ側ブラケットがこのような破損を起こす例はあるので、
必ずしもこのマウントロッドでなければ破損しなかったということでもないし、
いずれにしろこの箇所にストレスが集中するということは意識しておいた方がいいと思う。


※現在このパーツ、取り外した状態で保管されています。
使用したらこういうこともあるということを承知の上で、譲ってくれという方おられましたらご連絡ください。
8万q以上使用したとはいえ、マウントロッド自体は全くなんの問題もなく動作します。
なにせ半永久的に機能しますので。









●アンチスイングブラケット(三和トレーディング)


2003.7.19(120,304km)〜現在 13万km使用

上記マウントロッドを取り外して、エンジンオーバーホールを機に取り付けたのがこのパーツである。
→参照:三和トレーディング



サーモスタットのハウジングの固定ボルトとブラケットを共締めするとともに、
マニホールド部と固定することでエンジンにブラケットを取り付け、
ボディ側バルクヘッドにもブラケットを固定、
このブラケット間をブッシュを経由したロッドで固定する形である。
ブッシュはテンションロッド用のものを使用しているものと思われる。
なお、これの装着と共に、ステディロッドを本来の純正のものに戻した。

120,856kmで装着したこのぶれ止めキット、現在198,000km、
つまり通算走行距離77,000qを突破したが、
ステディロッド共々、いまだブッシュ交換が必要な事態になっていない。
音も振動も室内には入ってこない上に、急加速、急発進のようなエンジンが大きく振動しそうな操作をしても、
見事にその振動を吸収してくれており、ボディの安定性は非常に高い。

ブッシュの交換を迫られるような事態になったときにどうなのかは、今後を待たないとわからないが、
現状で他の不具合も皆無で、8万q近く快適に走行できているのは紛れもない事実である。
本来事実上1カ所で抑えていた振動を2カ所で抑える状態は、
単純に負担が半分というレベルではないくらいに効果があるようだ。
(余談だが、MTの場合年式によりロワーのぶれ止めも標準で付いてはいるが、
残念ながら役に立っているという話は聞いたことがない。)

なお、装着に関しては、補器具の取り外しを伴う上に、バルクヘッド側のボディに加工が必要とのことで、
十分な知識と工具を兼ね備えている方がやる場合はともかく、基本的には手を出さない方が無難である。
パーツ自体は12,600円。工賃はショップによってかなりばらつきがありそうに思える。


2008.2.22追記
走行距離24万kmを突破し、装着後12万km経過したが、現在までまったく不具合はなし。
ブッシュの交換の必要も現在のところない。
驚くべきは、ステディロッド側のブッシュも交換の必要も生じていない点だ。
車両の個体差、運転の仕方などにも因るのではあろうが、
これはもう、驚異的としか言いようがない。

2009.1.12追記
装着後丸6年、およそ13万km使用時の車検で、ついにステディロッド側のブッシュは交換した。
ただし、エンジンを揺すってみて揺れたとか、あからさまにブッシュが劣化していたということはなく、
さすがにこれだけ使ってるので、交換しておきますかというところである。
アンチスイングブラケット側のブッシュは未だに交換していない。








●エンジンおよびトランスミッションのオーバーホール


1999.8.7〜2003.7.3(120,304km)施工

12万km走行後に「ガレージミニ旭川店(現Garage-46)」様にてエンジンとトランスミッションのオーバーホールを行なった。

10万kmを超えたあたりから測ったように燃費が落ち始め、トルクがなくなってきたのがわかった。
しかし、これが冬期間だったため、燃費は冬道と念入りな暖機運転のため、
トルクは当時ちょうど交換したJMSAのダウンパイプの抜けが良すぎるためだと勘違いしていたのだが、
その後、十勝サーキットの直線で知人の同年式のATケンジントンを振り切れなかったことで、
パワーダウンしていることを自覚、(自分と同年式なら圧縮率とギヤ比からMTのほうがATよりもハヤイはず)
オーバーホールを決意した。

新車時から継続したオイル下がりがあった車両なので
開けてビックリなのではないかと思っていたらこのザマであった。



シリンダーブロック内部のピストンのヘッドに注目してもらいたい。
99年式E-XN12Aのノーマルのピストン形状はディッシュであって、決してフラットピストンではない。
しかし、この写真でわかるとおり、本来ディッシュであるはずの部分に、
12万kmに及ぶオイル下がりによるスラッジがたまり、完全にフラット化している。
圧縮率が上がってたのではと思えるほどだが、
ピストンリングの張力もまるでなくなってたので、(クマ社長曰く、「ユルユルのパンツのゴム」)
まったくもって悲惨な状況だったわけだ。


全てのバルブからオイルが漏れているが、特に2番(左から2番目)はひどい。

2番のバルブには変形が見られたため、これは程度のいい中古のバルブと交換していただいた。
ガス欠寸前でやむなく某安売り北海道限定○ダ石油のハイオクを入れた際、
オクタン価が足りなかったのかエンジンが数回誤爆したことがあり、
バルブの変形の原因として思い当たるとするとこれくらいであるが、
特定できるわけではないので、邪推の域は出ない。


エンジンのプラグ側(左)とマニホールド側(右)。ブロックとヘッドの間のガスケットからオイルがかなり滲んできている。

シリンダーヘッドとブロックの間からのオイルのにじみもあったので、ヘッド側を面研した。
結果として若干排気量は減るが圧縮率が上がり、トルクフルになる。
ピストン自体には問題はなかったので、きれいに洗浄した後、ピストンリング交換しそのまま使用。

あとは各種メタルを交換。
このメタルの摩耗状態であるが、非常に良好であったとのことで、まったく一安心であった。
もちろんそういうことなのでクランクシャフトも非常に良好。そのまま使用。
タイミングチェーンを交換し、バルブガイドを打ち直し、各種ガスケットを交換していただいた。

トランスミッションであるが、特に操作に問題はなかったものの、
ややシンクロに摩耗の気配がしていたので開けたらどうなってるんだろうかと思ったが、
ごく普通の摩耗状態であった。これは交換。
クラッチ交換、あとは洗浄、組み付けでオーバーホール完了。
せっかくなので、4速のギヤ比を高速寄りにするかファイナルを変更しようかと思ったのだが、やめておいた。
現行のギヤ比でも十分楽しいからいいやというのが理由で、カネがないからではない。ないったら。

以上、工程全てに触れたわけではないが、必要なことは全てしてもらい、
必要とまでは行かなくてもやっといたほうがいいことも全てしてもらい、
およそ2週間ほどでオーバーホールは完了した。
最も時間がかかったのはヘッドの面研で、これは外注である。
実際のところ、面研が不要であれば、
ガレージ・ミニではオーバーホール自体は非常に短期間で遂行してしまう作業である。
(必要に迫られて徹夜して一晩でなんて話も聞いたことあり)

→参照:オーバーホール時の作業明細書(2枚の明細から不要な部分を削除し、金額・個人情報などにはモザイク処理)

(2008.2.22追記:最近、オーバーホール時にガレージミニ様のウエブサイトで
その経過を掲載していたときのファイルを保存していたものを発見した。
ご参考になれば幸いである。 →参照


さて、オーバーホール後だが、
さすがにガレミニさんで思いっきりオーバーホールしていただいたエンジンは、
冗談抜きで、新車で納車されたときよりも好調であった。
なにせ、新車時からオイル下がりの車両である。
かなり早い時期からシリンダー内はスラッジだらけであったに違いない。
要するに、新車としての本来の性能は知らないままだったと言っても過言ではなく、
しかもオーバーホール前には圧縮が逃げまくって踏んでも踏んでも進まないほどトルクがない状態だったのだから、
オーバーホール後の状態との違いには愕然とするばかりではあった。
ただし、オーバーホール直後のトランスミッションは渋く、エンジンの吹け上がりもぎこちない感じであり、
その後1万qほど走行したころにアタリが出てきた感じで、7万q走行までは絶好調であった。

ガレミニのK岸さんに調子を尋ねられるたびに「生涯最高のデキ」と、
美浦の境勝太郎元調教師のような返答をしていたほどなのだが、
最近、走行時のオイルの減少が顕著になってきた。
オイルの減少は、ミッションの左側から走行時にのみ漏れているらしく、
現在の減り方であれば様子を見ながら走行するつもりであるが、
今後ひどくなるようならば対策は必要であろう。
ただし、エンジンでオイルを喰っているわけではなさそうではある。


結論として、
信頼できるお店があって、治してでも乗る意志と、治す費用があるなら、
調子悪いのを対処治療しながら乗り続けるより、オーバーホールしてしまうことを勧める。

筆者には幸いにしてガレージ・ミニという全面的にお任せできるお店があり、
日本全国でも最高のレベルの技術を他店と比較しても格安の価格で提供してもらえたおかげで、
シヤワセにミニに乗り続けられるのであるが、
有名ショップなどでもボッタクリ、修理不能、他店に外注して利益上乗せなんてのが行なわれていたりもするので、
結局のところ、どういう整備工場とおつきあいしているかによって、我々ユーザーは大きく左右されると思われる。



エンジンをオーバーホールした際、ガレージミニでは、エンジンブロックを鮮やかなアーモンドグリーンに塗装し直してくれた。
クマ社長曰く「アーモンドグリーンは愛の色」なんだそうである。
ところが、北海道の北部、海岸沿いの街、真冬でも乗り続けるという過酷な条件にさらされ、
せっかく塗装していただいたエンジンは、あっという間に錆びてしまい、
およそ半年でオーバーホール前の姿に戻った。
愛が色あせるのは早いという暗示らしい。






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