如是我聞




 江藤淳氏の自殺、太宰治の死

  平成11年7月21日水曜日の夜、文芸評論家の江藤淳氏が自殺しました。残された遺書には「病苦に堪  
  え難し」とあったそうです。また、昨年妻の慶子さんががんのため亡くなっていますので、このことも自
  殺の一因にになっているのではと各新聞に書かれています。
  私は江藤氏について、名前を知っているというだけで、著書も読んだことがなく、それほど深く知りませ
  んが、新聞を読むと「もう二度と現れない人」などと書かれ、小渕首相、石原知事などの政界や吉村昭氏
  などの数多くの文壇の方々から、その死を惜しむ言葉が寄せられていますので、相当な人物だったと想像
  するのは難しいことではありません。
  ここに、謹んで江藤淳氏の御冥福をお祈りします。天国で奥さんと会えるといいですね。

  文学者(この言葉の定義は非常に曖昧で、江藤氏も含めて良いのかどうか)は、自殺する人が多いようで
  す。芥川龍之介、川端康成、三島由紀夫、太宰治、田中英光などなど。
  一般の人より文学者の方が自殺している数が多いという統計資料を私は見たことがないので、断言するこ
  とは出来ませんが、芥川龍之介、川端康成、三島由紀夫、太宰治など、今でも多くの日本人に読まれてい
  る有名な文学者が自殺していることを考えると、文学をしていると自殺したくなる、或いは、自殺癖のあ
  る人間が文学をするといったような因果関係が多少なりともあるのではないでしょうか。

  私は、太宰治も自殺と書きました。昔は「山崎富栄に殺された」と全く根拠のない暴論を書いた人もあっ
  たようですが、最近では山崎富栄と合意のうえで心中したと信じている人の方が多いと思います。

  しかし、殺されたとまではしていないものの「太宰治は心中する気など全くなかったが、山崎富栄に無理
  矢理心中させられた」とする人は今でもいます。理由の一つとして『グッド・バイ』『如是我聞』が連載
  の途中だった、としている人が少なくありません。

  私はこれをなんと陳腐な説だろうと思います。理由はもっともらしく聞こえます。「太宰治が連載途中
  で、仕事を投げ出して自殺するわけがない」ということです。
  しかし、先に書いた、江藤淳氏においても『幼年時代』『漱石とその時代』が連載中だったではありませ
  んか。江藤淳氏のような高邁な精神の持ち主でも連載途中で自殺するのに、連載途中だから太宰治が心中
  するわけないのでしょうか。全然、理屈が通ってないではありませんか。

  太宰治と江藤淳氏、それぞれの死を取り巻く環境が違いますので、一緒くたに議論することは避けなけれ
  ばいけませんが、ここだけは同じだと思うのです。

  自殺、自ら命を絶とうとする人の気持ちは、、そういう気持ちが全くない人、考えたことのない人には、
  わからない、わかるはずがありません。それなのに、安易に、もっともらしいけど、理屈の通ってない説
  などやめてもらいたいものです。
  さらには、太宰治は遺書を書いているのです。無理矢理心中させられたのなら、或いは山崎富栄に不覚に
  なるほど、酔っぱらわされたのなら、遺書など書けるはずがないではありませんか。
  太宰治は死ぬ遺志があったから、遺書を書いたのです。 



如是我聞 初版本


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